小坂様 ツアー参加レポート 里山暮らし5日間 (2021年12/1~12/5)

小坂様より、『里山暮らし5日間』<br>ツアーレポート頂きました。
小坂様より、『里山暮らし5日間』
ツアーレポート頂きました。

20代、女性、東京よりご参加

■参加のきっかけはInstagram

11月中旬、通勤電車の中でInstagramをぼーっと眺めていた時、あるひとつの投稿が目に留まりました。その内容は城下町の歴史を学び、農業から陶芸体験までできるツアーに行ってきた、といったものでした。検索すると、翌週にも似たツアーが開催されるとのこと。“移住体験”の言葉と緑豊かな里山の写真に惹かれ、その日のお昼には電話をかけていました。正直その時点では丹波篠山に関する知識はゼロに等しく、「ささやま」を「しのやま」と読み、何県にあるかさえ知らないほどでした。

■行く前の印象

ツアー参加にあたって唯一悩んだことが、車の運転です。東京暮らしでペーパードライバーの私にとって5日間車を運転することはハードルが高かった。それでもスタッフの方と相談し、レンタカー5日間1万円という破格の値段に後押しされ、参加を決めました。結果的には、自然に近い暮らしをするとなると車は必要不可欠だということを肌で感じると共に、清々しい里山のドライブを楽しむことができました。

■城下町の歴史に触れる

1日目、東京から新幹線で新大阪へ。尼崎を経由して篠山口駅まで合計で約4時間。乗り継ぎが少ないためか距離に比べてアクセスは良い印象を受けました。大阪を出てから徐々に車窓の景色が今回の旅のテーマである「里山暮らし」を連想させる風景に移り変わり、篠山口駅へたどり着きました。レンタカーを借り、篠山城大書院にてツアーの概要説明を受けた後は早速城下町の歴史を学びに町へ繰り出しました。城にはなぜ天守が築かれなかったのか、どのような人々が暮らしたのかなど戦国の世に思いを馳せ、初日を終えました。

■移住の話

2日目は福住エリアにあるカフェ、マグナムコーヒーでお仕事体験。オープン前から地元の方が店先で開店を待っており、土地に根ざした空間という第一印象を持ちました。半日いた間でも地元住民と観光客が半分ずつくらいの割合で訪れ、移住者が開いた場所が地元の人に愛される場所となっていることに勝手ながら感動しました。

午後は移住した事業者のお店やアトリエを訪問。なぜ移住をしようと思ったのか、なぜ丹波篠山を選んだのか、暮らしてみて思うことをお伺いしました。その答えは多種多様で、住む場所によってご近所とのお付き合いの濃さが異なり、移住といえども偏には言い表せないことを知りました。無理に地元の方に溶け込もうとするのではなく、自分の性格ややりたいことに合わせて暮らし方は選べばいいという、選択肢の幅広さを改めて認識した気がします。

■旅行以上生活未満の滞在

滞在中は城下町のゲストハウス「taos」と「oito」に宿泊しました。

Uターンされたオーナーさんこだわりの2軒は作られた当初の趣を残しつつ、内装は整えられ、冬の初めの寒さのなかで暖かく快適に過ごすことができました。家具には地元のアーティストが手がけた作品が点在し、食器には丹波焼と、宿の中でも丹波篠山の魅力に自然と触れることのできる設えとなっていました。宿以外でも町中には食器に丹波焼を使用しているお店が多く、地域一帯となって伝統を守り広めていこうという思いを感じました。

おすすめしていただいた近くの中華料理屋さんへ夜ご飯を食べに出かけると地元の方で満席状態。ゲストハウスのスタッフの方も夕食を食べに来ていて、宿に戻ると、実は周りは丹波焼の職人だらけだったよという話に。その他にも住んでいる地域での草刈り事情や、ゲストハウスに併設されたカフェでの催しについてなど、滞在中には沢山話を聞かせてくださいました。

■丹波焼と里山を守る

旅の後半では丹波焼の窯元で陶芸体験をしました。工房の窓からはオレンジ色に染まった山が一面に見えて、里山の景色を満喫しながらの陶芸体験となりました。一般人が使う生活品として作られていた丹波焼は、丹波の土を使うこと以外にあまり大きな縛りがなく、色や形は様々。多くの窯元の作品が集まる陶の里ではその多様さに目移りしてしまうほどでした。

吉良農園では里山を守るための取り組みについてお話を伺いました。人間と自然が共生していくためにはどれだけ手を加えればいいのか、また外からの人をいかにして巻き込んでいくかなど体系的な仕組みづくりを考えていらっしゃいました。木を切り倒す瞬間も間近で見せていただき、里山が荒れないように手入れしていくことの大変さをひしひしと感じつつ、自分の暮らしだけでなく地域の暮らしを考えているその姿に感銘を受けました。

■バラエティ豊かな参加者とスタッフの皆さん

参加者の方は様々な思いを胸にツアーに参加されていて、その話を聞くこともこのツアーの魅力の一つかと思います。関西に住んでいる方と東京に暮らす私とでは丹波篠山に対する意識や知識も大きく異なりました。スタッフの方々は移住してきた方がほとんどで、その経験談や今後の展望もお伺いできて面白かったです。

■東京へ戻って

東京の暮らしへ戻ると、丹波篠山で幾度となく聞いた“週末の草刈り”のような地域との関わりがいかに少ないかを、ツアー参加以前より一段と強く感じるようになりました。自分だけでなく周りの人の生活を一緒になって考える、都会にはない暮らし方に今改めて魅力を感じています。行く前は4日間を長く思い、行ってみたら同じ4日間を短く、まだまだ見足りないと思う。2拠点生活や移住を頭の片隅に置き、現地の生活を自分ごとに捉えながら滞在することで、ただの観光では見えない魅力に気づくことができたのだと思います。すぐに移住する心持ちではなくても、普段と違う暮らしを見てみるという経験は自分の生き方を見つめ直す良いきっかけになるのではないでしょうか。私自身、今回の体験を胸に生活の選択肢を広げて多くの出会いを見つけていきたいです。

王地山焼の一輪挿し、生活の中に丹波篠山を少しだけ。