ジェニファー様 里山暮らしツアー参加レポート(12/1~12/5)

内田ジェニファー様より、『里山暮らし5日間』ツアーレポート頂きました。
内田ジェニファー様より、『里山暮らし5日間』ツアーレポート頂きました。

30代、女性、神戸市よりご参加

山から見た朝霧がどんどん立ち込めてゆく様子は本当に幻想的で、一生忘れない光景となりました。

■はじめに

両親が民藝品、とりわけ器が好きなため、子どもの頃はよく家族で立杭焼きを見に、色々な窯元を訪れました。そのため、丹波篠山は「いちばん身近な田舎」という感覚で育ち、毎年秋には城下町の市に出かけるのを楽しみにしていました。市の手工芸品を眺めて心躍らせ、帰ってからは山盛りの黒豆を弟と競って食べた記憶があります。両親は今でも年に数回は城下町をドライブで訪れているようです。

そんな丹波篠山ですが、よく考えてみると今田町と城下町以外の、里山としての丹波篠山をあまりよく知らない…歴史や伝統文化にはなんとなく触れてきたものの、「今」の丹波篠山をよく知らない…ということに気がつきました。住まいの神戸から近すぎることもあり、滞在したり自分の足でしっかり歩いたことがなかったからかもしれません。丹波篠山を訪れるたびに感じた素朴な幸福感は、具体的にどんなところからきているのか、いつか自分の足と目で確かめにいきたい!そんな気持ちがおそらくずっとあって、この「里山暮らし5日間」ツアーを知ったときは、ほとんどその場で参加を決めました。

このレポートでは、特に印象深かったコンテンツを中心にツアーの感想をまとめながら、移住や里山暮らしについて考えてみたいと思います。また、ツアーで感じた疑問を何点か挙げたいと思います。

■印象深かったコンテンツ

① チルドレンズミュージアムで校外学習の小学生のお手伝い

統合により廃校になった校舎を利用し2001年に開館したチルドレンズミュージアム。欧米では多くある体験型子供向け博物館であるチルドレンズミュージアムですが、日本ではとても珍しいと思います。さすが河合隼雄さんを当初から名誉館長に迎えているだけあって、人生において子ども時代の環境や体験、特にあそびがいかに大切かを感じさせる場所でした。

あくまで子どもが対象ですが、趣ある古い校舎の姿や懐かしい玩具・遊びの紹介、裏山など、「かつて子どもだった」すべての人を記憶の中のあったかーいところに連れ戻してくれるような素敵な環境と展示でした。

広い校庭で歓声をあげてシャボン玉をする姿や、昔ながらのシンプルなおもちゃや遊びに夢中になる姿の子どもたちを見ていると、良いものはいつまでも・誰にとっても良いんだなあ、としみじみ感じました。子どもたちが手に取る絵本も自分自身幼い頃に読んだものだったりして、いろんな技術やメディアが発達しても、人間の本質部分はそんなにすぐには変わんないよね、となんだか安心しました。

ワークショップの自然素材を使った万華鏡づくりは、簡単なのにいろんな発見がつまったもので、スタッフの子どもの心に寄り添った感性が感じられました。また、校庭でつぶさに草花を探したり、完成した万華鏡を「みてみて!!」と嬉しそうに見せてくれる子どもたちはただただ愛らしく、個人的には引っ込み思案そうな子のはみかみに特にグッときていました。

ふだん児童福祉や子どもの居場所づくりに関わっているものとしては、やはりチルミューが一番印象に残り、ここに述べた以外にも語りたいことが尽きないです。ぜひまた足を運びたいところでした。

②農業体験とクリエイター系移住者訪問

まさに「里山ツアー」のイメージどおりのコンテンツで、こんなに多くのエネルギッシュでクリエイティブな方々が移住先として選ぶのだから、さぞ篠山は魅力的なところなんだろうなぁ、と思いました。

と同時に、雑誌やテレビでみる「田舎暮らし」特集ではなかなか知ることのできない、移住者の悩みや苦労も知ることができて学びが多くありました。
例えば、

●田舎暮らしとニアリーイコールとなっている「スローライフ」という言葉は、ほぼ幻想であること。仕事や子育てはもちろんあるし、畑の手入れや地域の活動、家の補修や暖炉の薪割りなど毎日やることはいくらでもあること。

●農業、特に小規模農業や有機農業ときくと牧歌的なイメージだが、

*収穫から出荷までの時間との戦い、
*いつなにをどの畑や田に植えるかの綿密な計画立て、
*そのための準備をいつするかの逆算、
*そこまでやっても天候や災害で大きく狂う、

などを受け入れる必要がある、とんでもなくタフなマインドと身体が必要な厳しい仕事だということ。

●オルタナティブな農業や生き方、クリエイティブな活動など、従来の里山の住民とは異なる部分も多い移住者が、移住当初にぶつかりやすい壁が地域住民との関係性づくり。

例えば、都会よりかなり密な人間関係や、頻繁かつ負荷も高めの地域の活動など。

あくまで地域住民の暮らし方に寄り添って根気強く信頼関係を築きながら、ブレない「核」を持ち続けるという、柔軟さと強さのバランスをとるしなやかさが必要。「あんまり張り切りすぎないこと」というギャラリー経営のデザイナーの方の言葉は印象に残りました。

一見理想的に見える暮らしぶりですが、みなさんそれぞれ移住前の積み重ねや移住後の努力を人一倍されてることが非常によくわかりました。

③吉良農園訪問

自分自身地域の山の保全活動に参加しているのでとても楽しみにしていたコンテンツでしたし、期待以上の気づきがありました。

畑や保全作業の見学ももちろん勉強になりましたが、里山保全の仕組み作りのお話は本当にわかりやすく、吉良さんの明快でありながらユニークなお考えに感銘を受けました。それは、人口減少のなか里山を守り続けるには、保全活動そのものを経済活動とすることを目指すべきという考え。都会に住んでいると、里山保全はボランティア活動的な発想になりがちなところ、現地に住む方々には暮らしを維持するための死活問題であり、持続可能でなければありません。その点を、本当に突き詰めていらっしゃっている印象を持ちました。

また、保全活動が維持できなくなることで「自然と人の暮らしの境界が曖昧になっている」という、森の中で梅ちゃんから聞いた言葉にはっとさせられました。自然との共生といっても、どこかで線を引くことで、押し寄せる森林から田畑を守り、害獣被害などを防止しなければならない。

吉良さんの「里山の暮らしは人間と自然の駆け引きの歴史」という言葉にもつながって、里山はある意味、人間と自然のせめぎ合いの前線なんだなと思いました。

おもしろい気づきとしては、篠山などの里山の保全活動は自然の方を向いて、巡り巡って自らの暮らしを守るために行なっている部分が多いことに対して、自分が関わっている「まちの中の森林保全」は人間の方を向いて、森林自体を守っているということがありました。(篠山の自然と比べると取るに足らないような規模かもしれませんか)

具体的に言うと、森を整備して豊かな自然を市民に利用してもらったり、土砂災害などを防止することで、行政などが「もっと土地を有効活用できるから」「ここは危険だから」と開発するのを食い止めている側面が強いです。同じ自然環境の保全ですが、対峙しているものが異なるのは興味深いなと思いました。

さらに、移住に絡めて言うと、人口減少の影響を改めて知ることにより、もし自分が移住したら今住む地域はどうなるか、を考えました(大袈裟ですが)。どこかに移り住むことは、どこかを去ることでもあります。関わり続けてきた人間が去ることで、愛する地元に少なからず影響があるのであれば、わたしは留まることを選びたいと思いました。奇しくもツアーの意図とは逆かもしれませんが、それもまた良いのかなと思っています。ただ、二拠点生活に対する関心は高まりました。

■ちょっとした疑問 – 「パッとしない移住者」ってどうですか?

実は、ツアーを通してひとつだけひっかかっていたことがあり、それは訪問した移住者になんとなく偏りがあるように感じたことです。

クリエイティブまたはオルタナティブな仕事や暮らしをされていらっしゃり、改装した古民家や自らデザインされたモダンな住居や店舗をお持ちで、かつ「理想的な」家族構成、ロハスな子育て、などなど、みなさん「天然生活」などの雑誌の表紙に載ってらっしゃいそうな方々ばかりに、どうしても見受けられてしまいました。
そのような方々にお会いできたのは非常に貴重でしたが、率直なところ「おしゃれな移住者」でないとダメなのかな…と思ってしまいました。(ひねくれ者なので…笑)

例えば、福祉従事者で、普通の住宅で満足で、ひとり親家庭(自分のこと)…のような「あまり華のない移住者」はそこまで求められてないのかな、と。

つまり、ツアー主催者として「求める移住者像」が実はあるのでしょうか?ある場合それはどのようなものですか?
もちろん移住政策上優先されるは層があるのは理解できます。働き手であり子育て世代、税収がおおかた保障され、社会福祉負担も少ない層です。しかしながら、篠山市はそれ以上の何かを求めているのかなという印象を持ちました。どうでしょうか?

■最後に

上記のような質問はしてしまいましたが、否定的なものではなく、ツアーは全体を通じて100パーセント楽しむことができました。

コンテンツ以外では、朝にひとり散歩した時間など、里山の景色や遠くの山々を眺めながら静かに過ごす時間が持てたことで、自分が整った実感がありました。

また、ツアーを一時的に離脱して、市内の児童福祉施設を見学に行ったのですが、今回のつながりを通じて、そこで週一度お手伝いをする機会をいただけたのは幸運以外のなにものでもありません。先進的な取り組みをされている事業所で、以前より勉強のために関わらせていただきたいと思っていた施設でした。

ツアーのメンバーは、「このツアー、なんかおもしろそう!」、と直感で遠路はるばるひとりで参加してしまうようなガッツのある女性が多くて、彼女たちとの交流は、楽しくて仕方ありませんでした。
お宿は両方とも暖かく眠ることができ、DENさんでは素晴らしいお食事に胃袋も心も満たされました。

最後に、スタッフのみなさま、素晴らしいツアーをお組みくださり、たくさんのお話をきかせてくださり心よりありがとうございました。特に、田川さんには車での送迎をしていただき、おかげさまで本当にリラックスして参加することができました。慣れない運転で見知らぬ土地を移動されてた方々は、苦労もされてたようなので。

また、ひとりフラフラしがちな私のわがままも許してくださり本当にありがたかったです(すみませんでした笑)。団体旅行をこんなにも楽しめたのは小5の林間学校以来かもしれません!!

なお、思いのほか早く篠山の「週イチ関係人口」になりましたので、どこかでバッタリお会いしましたら、声をおかけいただければ嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。